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『こころ日誌・インスペクシオ』#22 真相

『こころ日誌・インスペクシオ』#22 真相

真相

私は昼休みに入っていた別の女子生徒の面接のため、一旦席を外したが、5時間目が始まるとまた保健室に戻った。

「様子どうですか?」
入室するなり金井先生に聞く。
私を見た金井先生はいつものように優しい笑みを浮かべた。
「丁度さっき目を覚ましたところです」

「あ、工藤くん、目覚めた?」
「オレ......なんでここにいるんだっけ?」
「覚えていないの?」
「なんか、3時間目が終わって廊下に出て...それで...」

私と金井先生と、2人してカケルの顔を覗き込む。

少し黙って考えているカケル。と、また表情が険しくなる。
「アァ......ふる、古橋さんに、に、ぶつかって......あああ、ちか、近づいちゃいけなかったのに」

佐々木先生に近づくなって言われてた古橋さん。ぶつかっちゃって......パニックになったってこと?

「アァ...ァア」
「落ち着いて。大丈夫だから」
私の声掛けにまた前のように頭を抱えてしまった。
「分かった。もういい。もう話さなくていい。落ち着こう」
私がカケルを落ち着かせようとしていると、
「加納先生、ちょっといいですか」
後ろから金井先生に呼ばれた。

振り返った私を手招きして保健室の外に連れ出すと、中に残してきた頭を抱えたままのカケルに聞こえないようにヒソヒソ声で話し始めた。
「加納先生が席を外している間に、お母さんに連絡取れました。できるだけ早く迎えに来てくれるそうです。親子メンタルにも電話してもらって、今日この後、すぐに診てくれることになりました。だから、お母さんが到着次第、連れて行ってくれるって」
「あ、そうだったんですね。それはよかったです」
それに続けて私は言った。
「今、工藤くん、話してくれたんですが、どうやら工藤くん、以前佐々木先生に近づくなって止められていた古橋さんとぶつかっちゃったみたいなんです。もしかしたら、それで、その佐々木先生に言われたことがフラッシュバックして...抱えきれなくなっちゃったのかなって」
「はい。それで......実は......その場で、古橋さんも過呼吸になっちゃったんです。彼女はすぐにお母さんに連絡とれたんで、もう帰宅しましたが」
「過呼吸?古橋さんって、そういう子なんですか?」
「いえ、今まで学校ではそういうことは...ただ、私の印象なんですが、この子も、なんか抱えてるものはありそうな気がしています。すごい支配欲が強いって言うか。友達とかも独占欲が強くて、仲のいい子が他の子と話してると見るからに機嫌悪くなるって。そんなだから周りからはちょっと距離を取られてるって言うか」
菜摘も一癖あるということか...。
「そうなんですね。過呼吸が初めてか分かりませんが、もしまた必要でしたら古橋さんも、カウンセリングにつないでもらえますか」
「はい、是非お願いします」

私と金井先生が話していると、吉田先生がカケルの母親を連れ立ってやってきた。
私を見つけると、いつものように、いや、いつも以上に疲れた表情で会釈してくれる。
「お疲れ様です」
私は労いのつもりで声をかけたが、もう一度軽く頭を下げると、そのまま私の前を通り過ぎて保健室に入っていった。

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