『こころ日誌・インスペクシオ』#19 眠気
眠気
「大分落ち着いているように見える」
佐々木先生の言葉が思い出される。
いつの間にかもう12月に入っていた。やすらぎルームのエアコンは夏は使用を許可されるが、電気代の関係で冬の間はガスストーブが入れられる。
私はそのガスストーブにあたりながら、目の前にいるカケルが話す宇宙語と格闘していた。
「戦争に負けるってどういうことか分かる?停戦協定とかって言うと、仲直りみたいに聞こえるでしょ。でも、実際には勝った国による蹂躙が始まるんだ」
この日は、戦争の後、戦勝国による支配が、いかに負けた国にとって残酷かという話がメインテーマらしい。
相変わらず表情は生き生きとしているように見える。
最近、私はある仮説を立てている。
カケルにとって、私は、人形でもいいんじゃないだろうか。
例えば、私がこのまま寝ちゃっても彼、気付かないんじゃないかな。
まだ実際には試してないが、そんな思考も頭をよぎる。
いけない。目の前にいるのは学校生活に苦しみを抱えた生徒だ。尊重して謙虚に寄り添わなくては。
でも......眠い。
というか、彼は本当に困ってるの?
最近は落ち着いているっていうし、私は彼と何をしているんだろう?
もうあの広瀬くんのお父さんもカケルのことは忘れてるかもしれない。
もう卒業でもいいんじゃない?
そんな気持ちが行ったり来たりする。
面接後の記録も、特筆すべきこともなく、「戦争後の両国の関係について」のみで終えた。
――――――
最新話です。次回の更新をお待ちください。
佐々木先生の言葉が思い出される。
いつの間にかもう12月に入っていた。やすらぎルームのエアコンは夏は使用を許可されるが、電気代の関係で冬の間はガスストーブが入れられる。
私はそのガスストーブにあたりながら、目の前にいるカケルが話す宇宙語と格闘していた。
「戦争に負けるってどういうことか分かる?停戦協定とかって言うと、仲直りみたいに聞こえるでしょ。でも、実際には勝った国による蹂躙が始まるんだ」
この日は、戦争の後、戦勝国による支配が、いかに負けた国にとって残酷かという話がメインテーマらしい。
相変わらず表情は生き生きとしているように見える。
最近、私はある仮説を立てている。
カケルにとって、私は、人形でもいいんじゃないだろうか。
例えば、私がこのまま寝ちゃっても彼、気付かないんじゃないかな。
まだ実際には試してないが、そんな思考も頭をよぎる。
いけない。目の前にいるのは学校生活に苦しみを抱えた生徒だ。尊重して謙虚に寄り添わなくては。
でも......眠い。
というか、彼は本当に困ってるの?
最近は落ち着いているっていうし、私は彼と何をしているんだろう?
もうあの広瀬くんのお父さんもカケルのことは忘れてるかもしれない。
もう卒業でもいいんじゃない?
そんな気持ちが行ったり来たりする。
面接後の記録も、特筆すべきこともなく、「戦争後の両国の関係について」のみで終えた。
――――――
最新話です。次回の更新をお待ちください。