『こころ日誌・インスペクシオ』#9 反省文
反省文
モヤモヤを抱えながら校長室を出て、職員室の机に戻ると、机上には先ほどはなかったクリップボードが置いてあるのが目についた。
『回覧』という文字の下の表には、生徒指導連絡会の出席メンバーの名前とその横にチェックボックスが付されてあり、一番下に「最後の方は佐々木まで」と書いてある。
チェックボックスを見ると、既に私以外、全員がこの回覧を見て、私が最後だということが分かる。
私は1枚めくり、中を見た。
「反省文
私はこの度、級友である広瀬大樹君に暴力行為を働いてしまいました。これはどんな理由があれ、決して許されないことであり、私は自分の行いをひどく後悔しています。今回、広瀬君が忙しいにもかかわらず私が無意味に声掛けしてしまったことが発端でした。当然広瀬君が気分を害してしまうであろうことに気が至っていませんでした。その結果広瀬君が私を無視したことにも腹を立て、広瀬君に暴言を吐いてしまいました。更にそのことで広瀬君に言い返されたことから、広瀬君の胸ぐらをつかんで締め上げるという行為に及んでしまいました。全ては私の至らなさの結果であり深く反省しております。今後このようなことがないよう、厳しく自分を律して学校生活を送ってまいりますので、これまで以上にご指導くださいますよう、よろしくお願いします。
2年3組 工藤カケル」
文字は決して上手ではないけど、すごく丁寧な文章......。
でも、なんだろう、この違和感は。
「オレはアスペルガーだから...殺されないといけないんだ...」
頭を抱えているカケルの姿が私の脳裏に蘇ってくる。
工藤くん......何に苦しんでるの?
あっと、いけない。
もう4時間目が終わっちゃう。
今日もお昼休みはお弁当を食べながらの相談が入ってたのを思い出す。
私はすぐに表紙に戻ると、私の名前の横にあるチェックボックスにボールペンでレ点を入れ、佐々木先生の机まで回覧を返しに行った。
「佐々木先生、これ、私で最後です」
そう言って、クリップボードを差し出すと、
「あっ、加納先生、さっきはお疲れさまでした。あれで、広瀬の親父さんにも、学校が放置してるわけじゃないって伝わったと思います」
やっぱり...私が呼ばれたのってそういうことだったのね。分かってはいたけど...。
しかし、私の思考には頓着せず、
「この反省文、なかなかよく書けてたでしょう?」
佐々木先生は満足そうに言って、それを受け取った。
――――――
最新話です。次回の更新をお待ちください。
『回覧』という文字の下の表には、生徒指導連絡会の出席メンバーの名前とその横にチェックボックスが付されてあり、一番下に「最後の方は佐々木まで」と書いてある。
チェックボックスを見ると、既に私以外、全員がこの回覧を見て、私が最後だということが分かる。
私は1枚めくり、中を見た。
「反省文
私はこの度、級友である広瀬大樹君に暴力行為を働いてしまいました。これはどんな理由があれ、決して許されないことであり、私は自分の行いをひどく後悔しています。今回、広瀬君が忙しいにもかかわらず私が無意味に声掛けしてしまったことが発端でした。当然広瀬君が気分を害してしまうであろうことに気が至っていませんでした。その結果広瀬君が私を無視したことにも腹を立て、広瀬君に暴言を吐いてしまいました。更にそのことで広瀬君に言い返されたことから、広瀬君の胸ぐらをつかんで締め上げるという行為に及んでしまいました。全ては私の至らなさの結果であり深く反省しております。今後このようなことがないよう、厳しく自分を律して学校生活を送ってまいりますので、これまで以上にご指導くださいますよう、よろしくお願いします。
2年3組 工藤カケル」
文字は決して上手ではないけど、すごく丁寧な文章......。
でも、なんだろう、この違和感は。
「オレはアスペルガーだから...殺されないといけないんだ...」
頭を抱えているカケルの姿が私の脳裏に蘇ってくる。
工藤くん......何に苦しんでるの?
あっと、いけない。
もう4時間目が終わっちゃう。
今日もお昼休みはお弁当を食べながらの相談が入ってたのを思い出す。
私はすぐに表紙に戻ると、私の名前の横にあるチェックボックスにボールペンでレ点を入れ、佐々木先生の机まで回覧を返しに行った。
「佐々木先生、これ、私で最後です」
そう言って、クリップボードを差し出すと、
「あっ、加納先生、さっきはお疲れさまでした。あれで、広瀬の親父さんにも、学校が放置してるわけじゃないって伝わったと思います」
やっぱり...私が呼ばれたのってそういうことだったのね。分かってはいたけど...。
しかし、私の思考には頓着せず、
「この反省文、なかなかよく書けてたでしょう?」
佐々木先生は満足そうに言って、それを受け取った。
――――――
最新話です。次回の更新をお待ちください。