BLOG ブログ

自己を支配する、つまり自律

自己を支配する、つまり自律

今日は自分を支配することについて話しましょう。意識しても止められないことってたくさんありますよね。たとえば、ダイエット中のお菓子やテスト前のゲームや漫画など、つい手が伸びてしまうものです。自分の本来の望みを達成するためにどう行動すべきか分かっていても、実際にそれを行動に移すのは難しいものです。つまり、自分の意思に反して行動してしまうわけですね。

自己コントロールの欠如にまつわる問題

お菓子やゲーム、漫画はまだかわいいものかもしれませんが、アルコールやギャンブル、薬物といった依存症はより深刻な問題です。依存症になると、その人の思考や行動の全てが依存対象に支配されるようになります。どうやってお酒を飲むか、ギャンブルに行くか、薬物を摂取するか、それらが思考の大半を占めるようになるのです。

他にも、学校に行きたいのに行けない人や、愛するパートナーや子どもに対する怒りが抑えられない人もいます。「この自分の衝動をどうしたらいいのか?」と悩むことはよくある話です。そのような場合、カウンセリングの目的の一つは、自分自身のコントロールをいかに取り戻すかということになります。

自己コントロールはどうやって身につくのでしょうか

自己コントロールを取り戻す話をする前に、そもそも人間が自己コントロールを身に付ける過程について考えてみましょう。これを「自己調整能力」と呼びます。新生児は自分の欲求をコントロールできません。お腹が減ったとき、時間を見て我慢する赤ちゃんはいません。大声で泣いて母親や養育者にお腹が空いたことを伝えます。すると、養育者がやってきてお乳を与え、空腹を満たしてくれる経験をします。欲求が満たされることで赤ちゃんは落ち着きます。

同様に、寂しい時、怒っている時、眠い時、体が不快な時など、赤ちゃんは不機嫌になってぐずったり、癇癪を起こしたりします。その度に養育者が様々な方法で欲求を静めてくれる経験を積んでいきます。この繰り返しの中で、赤ちゃんは次第に養育者を自分の内に取り込むようになります。これを「保護者の内在化」と呼びます。

保護者が内在化されると、物理的に養育者がいなくても、自分の中の「内在化された保護者」が欲求を静めてくれるようになります。これが自己調整能力の獲得です。つまり、自分をコントロールするためには良い養育者を内在化することが大切なのです。

健全な保護者を内在化する

私の恩師であるホログラフィートークの開発者嶺先生は、薬物依存者の薬物に対する衝動は、幼少期に親から適切な保護を受けられなかった、いわゆるネグレクト環境に起因していることが多いと仰っていました。つまり、その時期に適切な自己調整能力を獲得できなかったために、その寂しさを紛らわすために薬物に依存してしまうのです。この考え方は薬物だけでなく、あらゆる依存症にも当てはまります。依存症の構造は、依存対象によって不快感から逃れることができるというものです。

このように考えると、依存症の治療には、依存物質を絶つだけでなく、不快感を自己調整する能力を養うことが必要です。健全な保護者を内在化することで、自己調整能力を身に付けることができます。では、大人になってからでもこの能力を身に付けることができるのでしょうか?答えはYesです。「山の香りカウンセリングサービス」では、幼少期にできなかった健全な保護者の内在化を助けるカウンセリングを行っています。自己コントロール力を身に付けたい方は是非ご相談ください。